バクシーシとホームシック

 

 ダージリンの後、ガントクという町へ行った。外国人旅行者の姿は全くなく、たいした見所もなく退屈だった。あまりに暇だったのでバクシーシをしてしまった。
その日は金曜日。散歩のついでにある回教寺院を訪ねた。入口に腰を下ろし、昼の合同礼拝をボケーと見ていた。隣には物乞いの子どもが2人座っていた。やがて礼拝が終わりムスリム達が三々五々帰り始めた。2人の子どもは活動を開始し僕はそれを眺めていたが退屈をしのぐことはできない。そこで何となく両手をおわん形にして差し出してみた。するとひとりのムスリムが1ルピーを入れてくれたのだ。これはイケルと思い調子にのってバクシーシ、バクシーシと連発しながらムスリム達に喜捨を求めた。演技派の僕は泣きそうな顔を作り自分が本当の物乞いになったような気分でバクシーシを続けた。約20分の熱演の末22ルピーと70パイサを獲得。一方、2人の子供たちは10ルピー札を何枚も握っていた。さすがはプロや。格が違うで。良い暇つぶしにはなったがあとからものすごく惨めな気分になった。稼いだお金でキットカットを食べたがますます惨めになった。物乞いという行為はやはり惨めなことなのだ。それを感じることもなく物乞いをして生きている人々を悲惨だと思った。そんな人々がそこらじゅうにいるインドという国はやはり大きな問題を抱えている。
ガントクの後も1週間ほど旅行者がほとんどいないような町を転々とした。そして2週間前カトマンズへ到着。さすがにこの町は旅行者が多い。安宿の集まるタメル地区は両替店、旅行代理店、土産物店などが軒を連ねる。この町ではとにかく日本食ばかり食べた。各種定食が2ドルからと安い。しかも本場の味。標高1400メートルなので涼しくて非常に過ごしやすい。先日は露天風呂にも行った。台湾以来の湯船は気持ちが良かった。しかし日本的なものに触れすぎたせいか、最近少しホームシック気味。先を考えるととてつもなく長く感じる。この町とも今日でお別れ。今夜のバスで発つ。明日の今ごろはまた暑いインドだ。そして聖地バラナシへと旅は続く。

つぼの大冒険へ戻る  次へ 

トップページへ

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送